Gibson The Paul の魅力|70〜80年代Norlin期に生まれた“必然の銘器”
第4章:アッセンブリー編──刻印ナンバードPAF “素直な特性と素朴な出音”
電装系レイアウトは以下のとおり。
- Humbacker×2
- 2Volume&2Tone
- 3way toggle switch
Assembly

エスカッションは旧代理店時代のパーツへと変更済。
ピックアップ【刻印ナンバードPAF】
ネック側・ブリッジ側共に、74年から82年頃に採用された所謂「刻印ナンバードPAF」が搭載されています。
裏を見れば製造日がスタンプされている可能性もありますが確認していません。
ここでは「PAF」についての言及は避けます。
Amazonでの検索結果:“Gibson pick up“
「刻印ナンバードPAF」の仕様
- オープンタイプ(Non-Covered)
- ポッティングなし(Non-potted)
- 黒ボビン
- 7.8~7.9kΩ
「刻印ナンバードPAF」はカバードであってもポッティング処理(ロウ漬けによるハウリング対策)はされていないそうです。
オープンタイプ・ピックアップもコスト削減とみられる仕様ですが、音質的にはリミッター解除のような恩恵もあるので、デメリットとも言い切れません。
そもそもカバード・タイプが、コイルの隙間を埋めないNon-potted仕様だそうですし、カバーの振動もハウリングを発生させるリスクになるのなら、むしろ「見た目以外での必要性を感じない」というのもひとつの考え方。
※純正でもサードパーティー製リプレイスメントパーツでも、カバード・タイプ/オープン・タイプ、potted/non-pottedはピックアップの“いち仕様”として一般的に広く出回っているものです。
品質及び性能に優劣をつけるものではありません。
各社、仕様に特徴を持たせているようです。
インスパイアやオマージュの類ではありますが、Gibsonからも復刻されているようです。
Front / Rear ピックアップ
Front=Neck=Rhythm
フロントピックアップとは、ヘッド側に配置されたもの。
Rear=Bridge=Treble
リアピックアップとは、ブリッジ側に配置されたもの。
Front Pick-up (Neck Pick-up)

ボビン3・4弦間に刻まれた“T”字から、通称「T-top」や「T-フロント」「T-backer」とも呼ばれています。
Rear Pick-up (Bridge Pick-up)

“弦間ピッチ”と“抵抗値”が、Neck側 / Bridge側 ほぼ同じというだけの薄い根拠ですが、Gibson “The Paul” に搭載されている本家 “オリジナル” T-top には前後の区別は無いような気がします。
【刻印ナンバードPAF】の印象
基準となる共通認識がないので説明しにくいですが、クリーントーンでは華美なピックアップ特性を発揮せず、素直で素朴・繊細に出力する印象です。
別のT-topでは直流抵抗値が“7.8~7.9kΩ”だったので、Gibsonのピックアップの中でも取り立ててパワーが弱いとは言えず、明瞭な輪郭をもつ音で決して貧相でもありません。
ピッキングニュアンスや、ギター本体がもつボディの特性をそのまま出音に変換するタイプのピックアップのようで、誤魔化しがきかないと認識してしまうと、自分の粗が見える怖さや、扱いにくさを感じてしまうやもしれません。
もしかすると私が感じた“素直・素朴・繊細”という表現は、ウォルナット&エボニー/フラットトップの特性(硬い・タイト・反応が速い)からくるもので、アーチトップのマホガニーやその他の木材なら全く異なる評価・表現になるかもしれません。
カバード/オープン・ピックアップ
カバーの有無で、音質の傾向は確かに変化します。
ただその変化は劇的なものではなく、音作りにおける扱いやすさの違い程度であり。過度な期待は禁物です。
カバードタイプ・ピックアップの特性
同一モデル/オープンタイプと比較した一般論です。
- 効果:高周波が減少する
- レスポールの代名詞ともいえる、所謂「太く甘い」音
- ウォーム・ふくよか:艶っぽい
- ダーク・少し籠った響き:渋い
- フロント・ピックアップ&指板寄りのピッキング・ニュアンス
- volume/toneコントロールは“色気の変化”
オープンタイプ・ピックアップの特性
同一モデル/カバードタイプと比較した一般論です。
- 効果:高周波を豊かに拾う
- 煌びやか
- ナチュラル
- タイトでブライト引き締まり感やブライト感明るく
- リア・ピックアップ&ブリッジ・サドル寄りのピッキング・ニュアンス
- volume/toneコントロールは“派手さの変化”
【広告欄】Gibson The Paul・リプレイスメントパーツ
生産終了から40年。
塗装の剥げも勲章で、プレイヤー向けと言えるのかな。
搭載してみて、自分で判断するしかないのがピックアップ。
リプレイスの場合、サンプルにした年代や個体が方向性と傾向を決めたとしても、イメージする音・必要とする音は人によって異なるのが前提です。
おそらく寸法以外の字面から得られるすべての情報は、噂の域を出ない、各々の経験に照らし合わせた参考でしかありません。
だからこそ改造はやめられないのです。
S©ALETONE.のひとりごと
あまりにも長くなってしまったため、記事を8つに分けることにしました。
次回は閑話休題の章。
どこかで、ふと別の章に出くわすことがあれば、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
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