世間様は「経年変化したペグ」には興味があっても、「経年変化するペグ」にはあまり関心がないようです。
だとすれば、この記事に意味はあるのでしょうか?
それでも私は、変化の“過程”にも意味があると思っています。
いつかは、オリジナルのヴィンテージペグや「Relic」のように、風格を纏う日が訪れるかもしれません。
今回は、50年物のオリジナル「KLUSON DELUXE」、新品・10年物・20年物の「KLUSON(GIBSON) DELUXE」、そしてオマケとして、ペグの定番「ゴトー製」5年物の画像を並べてみました。
画像と実物では、色味やマーブル模様の見え方がかなり異なります。
できるだけ条件を揃えるため、加工は控えています。
スマホのオートモードで撮影しているため、同じカメラでも過去画像とは印象が異なるかもしれませんが、今回は「相対的な表現」として感じていただければ幸いです。
1970年代「GIBSON DELUXE」
特徴:棚引くマーブル模様。
ヒビのよう差し込まれた白が、フワっと舞う印象。

よく見ると実は「透明タイプ」なのかな?
私には、核となる歪な「練りタイプ」の周りを「透明タイプ」が覆っていて、その境界が白い模様として浮かび上がっているようにも見えます。
私が見ている実物の色味は過去記事のほうが近いです。
※ちなみに私の中の「練りタイプ」は、麻雀牌の背面のような質感を想定しています。
2000年代 「GIBSON DELUXE」
特徴:渦巻くマーブル模様。

元色の記録が無く、記憶の中では薄く緑の入ったクリーム色だった気がしますが、約20年という月日の流れは侮れないもので、ナチュラルな経年により黄変したものと考えられます。
「00s」は捻じりながらよく煉り合せたような印象。
決して“のっぺり”というわけではなく、“迷彩の積層”といった具合。
ただこちらは「練りタイプ」で透明度は低い(無い?)です。
マーブル模様の種類は異なりますが、色味は実物でも「70s」と見分けがつかない程で、遠目には遜色ないように見えます。
だとするなら、新品(relic無し)時点で「コレジャナイ」と感じていても、後期ヴィンテージクルーソンとは近い色味まで変化すると言えるかもしれません。
リプレイスメントパーツとしての「ヴィンテージスタイルのキーストーン」は2型のようですが、個体差なのか、体感としてのギブソン初期仕様では「翡翠色」「薄い緑のクリーム」「クリーム」の3色あるような気がします。
諸々要確認です。
2010年代「KLUSON DELUXE」リプレイスメントパーツ
特徴:漂うマーブル模様

こちらは「KLUSON DELUX」のリプレイスメント品。
「GIBSON DELUXE」は「Kluson」のOEMだったりするので、本体ギアボックス部は基本的に共通規格のはずです。
ですので欲しいペグボタンに合わせて選択肢のひとつに。
「70s」のような透明タイプで、白いヒモがニョロニョロ。
カメラの補正が弱いのか、実物も画像同様の印象で、こちらも経年により少し黄変しています。
新品時はもっと白く透明でした。
当時店頭では、柄がほぼ入っていないものや、透明~少し黄色いものなど、目に見えて個体差があり、購入時は「あえて白い物」「あえてニョロニョロしているもの」を、狙って選んだ記憶があります。
(10軒近くハシゴしているので、型番違いの勘違いだけではないはずです)
当時「マーブル模様の白いやつ」が欲しかっただけなので気にすることすら無かったのですが、見比べてみるとオリジナル「70s」のマーブル感は血沸き肉躍るほど荒々しいです。
2020年代 KLUSON リプレイスメントパーツ(ボタン単体)
10s「KLUSON DELUXE」のような透明ではなく、00s「GIBSON DELUXE」に近い半透明。
画像だとわずかに黄色が強調されている気もしますが、こちらも補正があまりかかっていないご様子。

ペグボタンには刷り込まれたイメージがあり、ベージュや翡翠色、純白のオーバルなど、特定のギターを逆算できる色味に目的を絞られている感が私個人的にはあります。
しかしこのペグボタンは、こだわりを捨て単体としてみた場合、「00s」と「10s」のいいとこどりで、個人的には汎用性が高く、絶妙に洗練されたデザインだと感じます。
もちろん「シングルリング」もあります。
おまけ:GOTOH製 510「H.A.P-M」
GIBSONの純正でもバリエーションがあるように、メーカー各社でもペグボタンの色には特徴があります。

ここではペグの定番「ゴトー製」「H.A.P-M」のペグボタン。
(比較するにはに色が飛びすぎですね)
「00s Gibson」よりも若干白く、薄っすらと翡翠色を帯びています。
↓こちらはロック機構のない「ノーマルシャフト」
まとめ:S©ALETONE.のひとりごと
将来的な変化は読めませんし、10年以上待てるかどうかは別問題です。
貫禄あるギター本体に、ピカピカの新品ボタンだと馴染まないのも事実です。
だからこそ「レリックパーツ」の存在意義があるわけです。
艶感・質感・白/緑/赤・バリなど、サードパーティー製「シュリンクルーソン」のレプリカ系アップグレードパーツのように、さらに他にも注目するポイントがあるのかもしれません。
私にはビンテージ志向はありませんでしたが、拘りダスト止まらない質ではあるので、気持ちはわからないでもなく、懐に優しくてよかったと胸を撫でおろすばかりです。
だからというわけではないですが、経年変化を見越してギター本体ともども、気長に育ててみてもいいのかもしれません。